まるごと通信 

連続講座
「干潟学ぶ」
第1回報告号 

0003号 2003年11月発行 

発行者 浦安自然まるごと探検隊 


 

第1回「干潟とは」

講 師 : 望月 賢二氏(千葉県立中央博物館)

日 時 : 2003年10月18日(土) 18:30020:30

場 所 : 浦安市民プラザwave101 小ホール

参加者 : 27名

 

◇ 「干潟とは」講演要旨 ◇

補足調査以来三番瀬の専門家でも中心的な役割をなさっている望月先生に一般的な干潟の定義から、三番瀬の位置づけと生物の営み、そして会議の場では言えない様な個人的な思いまでVTRをふんだんに使ってお話いただいた。テキスト ボックス: 干潟の3タイプ
(1)河口干潟:河口内の静穏な場所にできる狭い湿地。大河川に見られる。
 例:寄藻川、一宮川、江戸川放水路もこれにちかい
(2)潟湖*:河口の袋状の水域に干満で土砂が堆積。外洋の大河川におおい
 例:夷隅川、一宮川   *(ガタコもしくはセキコと読む)
(3)前浜干潟:河口の外に海岸線に沿って堆積した干潟。ある程度静穏な海。
 例:東京湾のほとんどの干潟。普通、広大な後背湿地を伴う。

テキスト ボックス:  前浜干潟の構成
 1)河川水と土砂流入、2)地下水湧出、3)干満による作用やモザイク上の環境、4)淡水か海水までの多様な後背湿地、5)活発な流れによる複雑な地形、6)連続した自然、7)生物の様々な分布、8)打撃と回復、9)砂の堆積と塩生植物 などをキーワードに全国の様々な干潟をビデオで紹介した。

盤州干潟・・・海側の潮のかぶる部分と湧水をベースにした葦原とセットが本来の干潟である。水深によって塩分濃度が劇的に変わり、さらに10年前は湧水があちこちわいていた。あんまり安定した環境・均一な環境では干潟的環境はできない。複雑な環境が大切。

本来の干潟・・・「駆け上がりから平坦な部分が続き、波当たりに砂が溜まり塩生植物、湧水や汽水の塩性湿地が続く。」「砂粒より沢山のアサリ」「波と海水に応じて干出部分に起伏がある」「特定の場所に特定の生き物がいる」「多くは絶滅危惧」「アシは利用が減ると急増した」「浄化能力だけでなく、窒素循環が速いこと」などを念頭におく必要がある。

・様々な生物
 盤洲や九州の様子を紹介。クルマエビにアラムシロガイが集まる様子。塩生植物。アカニシがハマグリを食べる様子。地下水の湧出の様子など貴重な映像だった。

・本来の三番瀬角丸四角形吹き出し: 三番瀬が再生されたとして、今の社会のあり方では、次世代に生かすのは無理ではないかという点が、円卓会議の議論で欠けている。
同じ水を使う水田と違い、工業化で地域社会がなくなり、集団としての要素がない今、水辺ができても主体的の関りがない。お客さんなら高い税金か、民間に利益分をはらわないといけない。一方、自分達でやるには、社会には余裕もノウハウや道具もない。少し弱いが、解決策もいくつかある。
今の社会は成功者が勝つ、アメリカ型。地域の財源を確保し、ヨーロッパ型に労働や都市を管理することを自然と向き合ったときに考えてもいいと思う。
また、障害として浦安は埋立地で高低がない。技術改革や利根川流域での水循環を考えたい。さらに、今の子ども達が自然と関わっていない。清潔志向も病的になっている。これらは、10年20年30年とやっていく中で始めて効果が見えてくるものがあるのだろう。
 三番瀬は埋立地の影響や、後背湿地が無いなど、干潟そのものとは言えない名残。それでも盤洲と比較して遜色ない生物がいる場所である。
 100年単位の保全で考えることに、過去の海水面変化がある。温暖化と騒ぐが安定した海面はまれ、海面が上がればこのままではなくなる。また、流域の土砂が溜まり干潟ができたが、水系を改変したこと、ダム、田・湿地の消失など、三番瀬再生にも何十年後かに議論に上がるだろう。
 「干潟」の意味として、昔の生物多様性があって恵みを与えたものを考えるか、単なる風景を考えるのか、違いを認識しておく必要がある。
伝統的には半農半漁でこの地域で生活が完結していた。百姓は貧しかったといわれるが、色々な研究から貧しくなかったといえる。また、水田は多くの人口を支え、それ自体が生き物を飼う装置で、下肥なども再使用し、それも海まで流れてきた。40年前に埋め立てされ海岸が出る。埋立地の大都市に囲まれた場所をどう考え、その大枠をどうするかを考える必要がある。

◇ Q&A ◇

質問1 三番瀬に比べて自然度の高い盤洲干潟の湧き水が途絶えたのはなぜか?

A)山の保水力の低下、ダム等による水の取水、水田の乾田化による浸透の減少や地下水の強制的なくみ上げ、温泉施設によるくみ上げなどが考えられる。人が水循環系に手を加えこうした問題が出てきている。三番瀬では市街地化と大型構造物があるが、浅い所の水動態は分かっていない。

質問2 生物はどのくらい深くまでいるのか?陸上の土のように干潟でも層状になっているのか?

A)基本的に陸から水が入り土砂がたまるので、層状になる。酸素のある層にはたくさんの生物がいるが、酸素のない深いところでは還元性のバクテリアが多くなる。ただ、どこの層で還元層になるかは、泥や水の動きによって複雑になる。還元層は黒くなり、硫化水素臭がするので分かる。

質問3 浦安は特にマンションが多いが、そういう中で地域の暮らし向きを変えていくにはどうしたらいいか?

A)非常に難しい。祭りなどの地域の伝統行事を回復し、新しい形で育てていくのがポイントになるが、そのためには日常生活で人が集まり、話ができる場所がたくさんあることが必要。難しいのは、刺激は明らかに東京の方が強く、地元に目が向かない点を、どう自分たち自身の関係を作っていく中で乗り越えていくか。日常的な関係を土台として、その上で地域として何かやるものを設けていく感じかなと思っている。

質問4 行徳の鳥獣保護区に後背湿地として求められる機能は何か?

A)実は難しい。面積が狭すぎ、三番瀬全域に実質的役割は殆どない。むしろ50100年後に環境を作り直す種を残す場として重要。いい水を入れ、浅海域と波打際、後背湿地として水を染込ませ、湧き出す仕組を含めて作る。ただ、鳥類相が変わる可能性を受入れるかどうか。

また、御猟場との一体化や、丸浜川や江戸川放水路等との直接的な連続も将来考えた方がいい。それを参考に現在の状況で何を選択するかを順番に考えるのが一番だろう。大事な核なので、まず保全ありきでやらないと全部ダメにしてしまう危険性が高いところ。

質問5 主体者としてのかかわりとしての遊び、特に子どもの遊びにはどういう具体的なイメージがあるか?

A)何度も気楽に行けるような条件づくりをし、危険な部分への手当てをしておけば、後は放っておいても自由に生み出すのではないか。

質問6 地域でもできる手入れとは?

A)三番瀬自身が地域の人々と切り離されてしまったのが現状であり、まず地域の住民が手入れをできる場所を作ることから始めることが必要。


◇ アンケートより0講座に参加して  ◇

 

 


 

 

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11/22 10:00〜 

12/13 13:30〜

1 /18 18:30〜 

2月(調整中)

3 /22 17:00〜 

浦安市郷土博物館

日の出公民館

日の出公民館

wave101小ホール

神奈川県各地

●聞き取り「浦安の干潟と埋め立て」講師:尾上一明氏(浦安市郷土博物館)

●観察会「冬の渡り鳥」講師:蓮尾純子氏(行徳野鳥観察舎)

●ワークショップ「各地の干潟」講師:芝原達也氏(日本野鳥の会レンジャー)

講演会「東京湾における干潟の役割」講師:細川恭史氏(国交省国土技術政策総合研究所)

現地見学会「東京湾の干潟」講師:島村嘉一氏(浦安市郷土博物館)

* 本講座は、平成15年度浦安市市民活動活性化事業補助金を受けて開催されています。

◆編集後記◆

今回は講座の速報を記載いたしました。講座終了後の報告書に正式にまとまります。今後の講座もぜひお越しください。(山北)

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